伊豆の別荘地にある1LDKの物件を80万円で買った。土地、家込みで80万。ネットで不動産情報を調べて、元々150万円で売り出されていたものに指値をいれて80万円にしてもらった。
今まで地方を放浪している途中で、土地を0円で貰ったとか 100 万円以下で買ったとかって話を幾度となく聞いていたから、100万以下の物件を見つける自信はあった。
もはや、100万円あれば家が買える時代なのだ。
結局不動産経由で買ったが、しばらくの間次のような募集をTwitterで行っていた。
この募集には主に知り合いから10件程度の物件情報をいただいた。結局紹介していただいた物件は購入しないことにしたが、全国に土地が余っていることを認識できたし、安い物件を見つけるテクニックなども教えてもらえたので、自分が物件を選ぶ指針にもなり参考になった。
購入した物件について
見ての通り、変な物件だ。鬼太郎の家のように1本の柱の上に家がある。
土台は鉄筋コンクリート製だが、住宅は木造だ。
築44年。1LDK。全体でも 52㎡ (32帖) の建物なので、一軒家としてはこじんまりとしている。
はじめ、不動産の紹介写真を見た時はこの根本のコンクリートが地震でも来ればぼっきり折れてしまいそうだと思った。
内見したらそこそこの太さがあったので楽観的に考えることにした。購入した今でもぽっきり折れる日がくるかもしれないと思っているが、そうなったらそれはそれで面白いかなと思った。
この高床式のような独特な構造のお陰で、木造建築でありながら地面からの湿気やシロアリなどの虫とは無縁な物件となっている。そのため、築44年のわりに状態が良かった。直前に売り主が2週間ほど滞在してDIYで色々直したそうで、そのおかげもあってすぐに住める状態だったのも選んだ理由の一つだった。
300万円以下の物件は、所詮は安物件なので床が抜けていたり雨漏れしていたり、がれき類が置き去りにされていることもざらだ。僕もその辺をDIYで直したり、多少のゴミの処分費用を払うことを覚悟で物件を探していたが、この家はそういった手間が不要だった。せいぜい、引き戸の立て付けが若干悪いことと給湯器が壊れている程度のことだった。引き戸は一度外してかんなをかければいいし、給湯器はジモティあたりでやすいのを手に入れればいい。温泉が近くにたくさんあるので別に自宅でお湯が使えなくても別に良いかなとも思う(今住んでる物件も給湯器はないし)。
立地としては山のなかにある別荘地なので、最寄りのスーパーやコンビニまで6kmほどある。バス停も6km程先、駅は20km先だ。車があれば生活できるが、そうでなければちょっと大変そうだ。まぁ、6kmくらいなら歩けなくもないが。
一応隣家が1軒あるものの空き家だし、その他は森だ。別荘地なので家はある程度離れて建てられている。売り主は近隣住人には会ったこともないと言っていた。
こういうところが別荘地のいいところだ。
田舎暮らしと別荘地について
田舎といえば人間関係のわずらわしさ
今までの田舎生活、田舎旅でうんざりしたことの一つはやはり人間関係だった。
もともと僕は人間関係を億劫に考えがちだ。人に干渉されたりするのが嫌いだし、メンツや世間体という概念もややこしくて面倒くさい。会議や議論も好きじゃないし、人間関係を退屈だと感じた時に我慢するのも嫌だ。
でも、田舎のお年寄りのステレオタイプはあまりにも考え方が古く、非合理的・感情的で、僕にとってはあまりにも埒外だった。お年寄りはあまりにも昭和に生きている。例えば、現在70歳の人の場合平成が始まった30年前でも40歳だ。40歳なんて、すっかり頭が固くなってるし、意識的に訓練している人じゃないと新しい考えを受け入れることは出来ない。そういう人間が常識だと思って振る舞っていることの全てが、僕のような若者にとっては埒外だった。そのうえ、付き合うメリットを感じられなかった。賃貸住宅の大家さんみたいに明らかな利害関係があるならまだしも、ただの近所の人の長話しに付き合ったり、自分の益にならない仕事を手伝ったりするのは割に合わない。結局、向こうからしても僕のような人間は埒外で、よくわからないやつとしか思われないわけで、長い目で見た時にうまくやっていけるとは思えなかった。
もちろん、全てのお年寄りと馬が合わないわけじゃない。80歳を超えても iOSでゲームを作る女性のように、年をとっても新しいことに挑戦する人は面白い。
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でもこういうのは少数派だ。比較的僕が仲良くなれそうだなと思うお年寄りは、60歳以上の人でも新しいスマホが出たらすぐに買うような新しい物好きな人や自力でログハウスを作るようなものづくりが好きな人、海外に住んだり色々な仕事をやっていて文化人類学的なことに興味がある人などだ。要するに、その地元でもちょっと変人として扱われているような人たちだ。僕自信何かと変人扱いされることが多いので、同じ穴の狢ということだろう。
別荘地の良さ
一方で、別荘地は人間関係の煩わしさがない。まず町内会がない。別荘地には管理会社があって、そこが道路の清掃とかゴミ収集所の管理を行なっている。
管理会社がない場合、このようなことは町内会を作って近隣住人で集まって行なっていることが多いのだが、若い移住者がそこに入ると雑用を押し付けられがち(他の住民と一緒に何かをやることが多いが)なので、気をつける必要がある。まぁ道やゴミ収集所の清掃は自分も使うからいいとしても、神社やお寺とか墓地の清掃なんて移住者にとってはやる義理がないし、飲み会なんて参加したくもないし、祭りの準備とかってなってくると「もうそれ仕事でしょ…」としか思えないし。この手の町内会活動は、仕事として受注できないので面倒くさい。「お前、パソコン得意なら、ちょっと書類作ってくれよ」みたいなことも言われがちだし、いちいち断るのも面倒くさいし「それバイト代出ます?」みたいに守銭奴キャラを演じるのも疲れる。この手のやりとりの一切が不毛に感じるし、まるで興味を持てない。こういう話はどこにでもありがちなようだ。
別荘地では別荘管理費を支払う必要があるが、僕が買った物件では年42,000円(月3,500円)程度だった。僕は初め、家を買えば賃貸とは違って運用費はかからないと安易に考えていたが、実際にはそんなことはない。何かと運用費は必要になる。しかし年42,000円程度なら安いものだ。どうせ、別荘地でなかったとしても町内会費は支払うように求められるし、ちょっと地域交流が盛んで定期的にお祭りや飲み会をやっている地域なら町内会費を年42,000円以上徴収している場所もあるわけで、それを考えれば破格だ。なにより、面倒をお金で解決できるのがいい。市県民税を額支払っているのに行政が対応してくれない雑務を、町内会費を払いつつ自分たちで行うなんて馬鹿馬鹿しい。信仰してもいない宗教行事や宗教施設の管理を手伝うのもやる気になれない。実際、都会の若者は誰もそんなことやってない。やってたとしても強制参加ではないだろう。
また、別荘地は住民が不在であることが前提なのが良い。僕は伊豆の物件を買ったものの、伊豆に一年中引きこもっているつもりはない。長くても1年間の半分くらいしかいないつもりだ。それ以外の時間は海外に行ったり、都会や別の地方とかにいると思う(僕はリモートワークのプログラマだから、ネットさえつながればどこでも仕事ができるのだ)。こういう生活を普通の田舎でやると、奇異な目で見られがちだ。基本的に田舎の人々は視野が狭いわりに自分たちが理解できないものは悪いものだと思っているから、奇異な目で見られると面倒くさい。千葉でシェアハウス運営もやっていたけど、なにかと干渉されるので面倒くさかった。別に僕のような移住者がやってることに干渉する理由なんて、地元の人々には何もないと思うんだけど。まぁ、そもそも「他人に干渉すること」を悪いことだと思ってないから話が通じない。シェアハウスの住民はニートが多かったので、若者が一軒家に集まって平日の昼間からゴロゴロしているのが理解できなくて気持ち悪かったようだ。
田舎の人々について考える
ステレオタイプ1: ずっとその土地に住んでいる人
よく「田舎の人間のほうが親切」とか「お年寄りのほうが知見に富んでいる」みたいな意見があるけど、あれはフィクションが作り出した理想像に過ぎないように思う。
ここで少し、実際に田舎にいるお年寄りのステレオタイプを数パターン考えてみよう。
まず地方出身者の方は、まず自分の中学・高校時代を思い出して、そこから地元に残っている人を思い出してほしい。だいたい成績が悪い人とかオラついてた不良とか、他に行く場所がない引きこもりとか公務員になった人とか、そういう人々が田舎に残っていて、成績のいい人や地元に耐えられなかった人は上京するなり海外に行くなりI・Jターンして他の場所に行くなりしていると思う。こういう流れはいつからあったのだろう? 20年前? 40年前? 例えば、昭和ソングの「なごり雪」は 1974 年(ちょうどこの物件が建てられた頃だ)にリリースされた歌だけど、この時点で既に都会と田舎を移り住む若者が歌われているわけで、つまりその頃には既に若者が地元を離れて上京するって状況はある程度当たり前にあったわけだよね。ってことは、今、田舎にいるお年寄りというのは、この手の地元に残らざるを得なかった人々がただ年をとっただけというパターンが一番多い。本当に生まれた土地が好きでずっと住んでるという人も僅かにいるけど、大半は自分の人生を変える選択を出来なくてくすぶって疲れた人だけの人が多いように感じる。「このへん何もないから」「こんな田舎になんで移住してきたの」みたいなネガティブな発言ばかりする地元民は確実にこのタイプだと思う。
別に彼・彼女らは移住者に対して悪意があるわけではないけど、思慮深いわけでもない。狭いコミュニティでずっと生きているから視野が狭くて、移住者を受け入れる土壌がない。結果的に、自分たちの常識を移住者に押し付けがちだ。悪意があるわけでもないので、移住者としても距離をとるのが大変で、負担が増えるとだんだん面倒くさくなる。僕の経験上、善意の方が悪意の何倍もやっかいだ。向こうの意にそわないことをこちらがすると「私達は善意でやってるのに」「自分勝手なやつだ」みたいに言われがちなのだ。このステレオタイプには「自分が善意で行なっている行動を、相手は不快に思わないはず」と考えがちで、「自分の行動を相手がどう捉えるかは相手次第だ。そこに自分の気持ちは関係ない」という考え方はない。この考え方は文化や年齢が異なる不特定多数の他人と交流した経験がなければ培われない。
それに、地方では年功序列や男尊女卑といった考えも根強いし、暴力(暴言やヒステリーも含む)に頼る人も多い。僕には年齢と人徳や能力との間に正の相関があるようには思えないのだが「年寄りを敬え」という考えが強すぎる。しかもそれを年寄り自身が主張してくる。年寄りは説教好きなので色々知識をひけらかしてくるのだが、どうにも時代遅れだったり間違っていたり独善的だったりすることが多くて、聞く価値のある話が少ない。逆に聞く価値のある話をする人は、年齢に関係なく人徳もあるように思う。年功序列を当たり前だと思っているお年寄りは、若い移住者のことを手下が一人増えたくらいに考えていることがあって、そういう人には「こちらは貴方の言いなりにはなりませんよ」という態度をはっきり示さないとどんどん面倒なことになる。
男尊女卑については、僕は男だからさほど感じないが、70歳過ぎの女性から真面目な顔で「女性が働くのは良くない」と言われたときはひいた。ほんとにそんなこと言うやついるんだなと思った。70歳にしても保守的な考えだと思うけど、いいかげん昭和は滅ぶべきだと思う。女性は都会にいても痴漢やレイプ被害にあいやすいし、横の繋がりで気を使うことも多そうだし、女同士の争いも多いし、雇用面でも冷遇されがちだし、何かと生きるのが辛そうだと常々思っている。
↓九州は特にやばいらしい
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暴力に関しては、本当に残念なことだけど日本にはまだまだありふれている。どこの田舎にも、すぐ怒鳴ることで周りを黙らせてきたジジイとヒステリーでわがままを通してきたババアはいるようだ。愛情や熱意があれば目下の人間を殴ってもいいと考えも根強い。これはたぶん受けてきた教育の違いもあるのだろう。ほんの数十年前まで学校における体罰はありふれたものだった。感情的なコミュニケーションしか出来ない人間にとっては、軽度の暴力はコミュニケーションの一貫程度に考えているのかもしれない。犯罪なんだけど。田舎に移住するなら筋肉を鍛えて強そうに見えたほうが、何かと話が進みやすいように思う。
ステレオタイプ2: Uターンしてきた人
2つめのステレオタイプとして、Uターン勢が多いと思う。Uターンといえば単に生まれ故郷に帰るだけだから、地元の人々とうまくやれそうな感じがあるが、実はあまり風当たりが良くないケースもある。若者のUターンであれば「都会に行ったけど失敗して帰ってきたやつ」みたいな陰口は言われる (結婚してUターンした場合は除く) だろうし、お年寄りのUターンであれば「役たたずのお年寄りが今更帰ってきやがって」「俺達が辛かった時にいなかったくせに」みたいに言われるという話を聞いたことがある。兎にも角にも日本は嫉妬、妬み、僻みの強い国だ。地元に縛られて生きている人々は、都会や自由に生きているように見える奴らが心の底では恨めしいようだ。一人暮らしさえやりたくても出来なかった人間が大半なわけで、そういう人々からすればUターン勢というのはからかいがいのある対象なのだろう。I・Jターンのように縁もゆかりもない奴らは、彼・彼女らからすれば理解の範疇を超えているので、かえって絡みづらいのかもしれない。別に陰口を言われる程度であれば無視しておけば良いのだが、ニュースを見ていると時々犯罪を犯すことも辞さない連中がいて「日本やべぇな...」と思う。
↓とか。
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ステレオタイプ3: 妙に移住者に絡んでくる人
最後に、最も気をつけなければならないステレオタイプが、妙に移住者に絡んでくる人。これは新入社員に教育担当でもないのに妙に絡んでくる先輩社員に似ている。どのコミュニティにはこのステレオタイプはいるのでわかる人もいると思うけど、こういう妙に絡んでくる人からは距離をあけた方が良い。「妙に」というのはなんとなく距離が近かったり、一見親切そうだけどなんかマウント取ってくるとかそういう感じ。このステレオタイプは別に親切なわけじゃなくて、単にコミュニティの中で他の人から相手にされてないだけだ。コミュニティの中でうまくやっていけてる人は、わざわざよそ者に過度に近寄ったりしない。よそ者からコミュニティに近寄ってくればそれで十分だと考えるからだ。でもコミュニティの中で相手にされてない人は、まだコミュニティのことをよくわかってない新参者をなるべく自分の仲間にしようとする。その人が自分と同じ移住者だったりしてとても馬が合う場合はそのまま仲良くなってもいいけど、そうでなければ距離をあけよう。既存のコミュニティで相手にされてないってことは、何かしら厄介な人である可能性が高い。Twitterでクソリプなげてくる奴程度に思っておけばいい。
移住者とは「外来種」である
色々と田舎の人間のステレオタイプを考えてみたけど、所詮、移住者というのは既存の生態系を破壊する外来種だ。ブラックバスやカミツキガメと同じ。僕としては「よそ者」より「外来種」と考える方がしっくりくる。在来種にとっては外来種は自分たちの生活を脅かすものでしかない。地方のステレオタイプな人々は土地に縛られて生きているから、よそ者からそれまでの生活に変化をもたらすようなことをされるのが怖いようだ。地元の人々がよそ者を排除しようとする動きは、在来種が外来種と戦う動きによく似ているように思う。外来種が少ないと在来種が勝って、外来種が多いと在来種が負けるところもよく似ている。地方創生がうまくいっている場所は、だいたい短期間に大人数のよそ者が流入している。
「郷に入っては郷に従え」という考え方もあるが、僕はこれは馬鹿げていると思う。僕に言わせれば「郷に入っては郷を壊せ」だ。そのコミュニティに蔓延る悪い慣習や時代遅れな考えなどを破壊することこそ外来種の役割であるように思う。地方創生とは本質的には「地方破壊」であって、必ずしも地方の変化を望まい在来種にメリットのあるものではない。そもそも変化とは既存の何かを破壊したり置換したりすることだし、どこにも不利益を被らない変化などありえない。「このまま静かに余生を過ごしたい」と思っている在来種と「田舎で何か楽しいことをしたい」と思っている外来種がうまくやっていけるわけがない。地元の人々も一緒に変わっていければ一番いいけど、彼・彼女らからすると、それまでに地方自治体が犯してきた数々の失態を見ているから、今更何かやっても良い方向にいかないという気持ちも強いから消極的なのだろう。廃墟の遊園地が放置されるなど、後始末がちゃんとできない不手際も目立つし、新しいことを始める前から失敗したときのことが議論されるなんてうんざりだ。
別に僕としては地方創生を仕事にしているわけでもなく、田舎でしか出来ないことがあるから田舎で生活しようとしているだけなのだが、この時点で外来種としての性質が強すぎるから普通の田舎に受け入れられるわけではないようだ。IT業界では「許可を求めるな、謝罪しろ」という言葉があって、僕もこれが好きなのだが、これは田舎では嫌われる考え方だ。
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で、あれば別荘地のように在来種との衝突が少なそうな場所で、自分のやりたいことを好き勝手やろうと思った。
既存のコミュニティがない場所、つまり在来種がいない場所であれば争う必要もない。
安い物件を探す方法
長々と田舎のネガティブな話をしてきたが、田舎は悪いことばかりではない。自然が豊かだったり食べ物が美味しいのは事実だし、色々と気をつけることはあるものの基本的に田舎の人々は親切だ(都会の人も親切だが)。人間関係が煩わしいなら、別荘地に住むなどして関わらないようにする工夫をすればいい。誰も面倒くさい人間関係を行うために田舎に引っ越すわけではないのだから、自分の目的を果たすことを最優先で考えよう。
田舎のポジティブな話や地方移住の成功談はよく耳にするので、今回はあえてネガティブな話を強くかいてみた。家を買って移住するからには、こういうネガティブなこともしっかり考える必要があると思うからだ。ここでは方向性を変えて、安い物件を探す方法について書きたい。
地方には空き家がたくさんある。しかし、その全てが不動産情報として扱われているわけではない。僕が Twitterで物件を探していたのもそのためだ。
なぜ不動産に空き家情報がのらないのか? それは、売り主が物件を空き家だと思ってないからだ。人は住んでないけど「仏壇などの荷物を置いているから」「よくわからない人(つまり不動産の紹介やインターネット経由で来た人)に貸す・売ると世間体が悪いから」「年に数回だけ法事で使うから」などの理由により不動産が扱えていない物件が埋蔵されている。僕が Twitterで募集をかけた狙いは、これらの物件の情報を集めることだった。
こういう不動産に出てない情報を売り主か、売り主の知り合いから紹介してもらって、物件を買おうと思っていた。もし必要であれば、狙いの街に数カ月住んでそこの顔役(市議会議員とか商店会会長とか)となかよくなって物件を紹介してもらうのもありかなと思っていた。売り主にとっては田舎の世間体理論として「顔役の人に頼まれたから売った」と言ったほうが楽なのだ。
実のところ、100万以下で物件を買うのは結構難しい。特にインターネットに情報があまり出ていない。正確には情報がのったら短期間で売れてしまうと言った方がいい。だから、良い物件を安く手に入れたいなら地方のインターネットでは見つけられないローカルネットワークの情報をなんとかして手に入れるか、インターネットを半年間くらい監視して条件に会う物件が出てくるのを待つ方が確実だ。僕は知人から教えてもらった不動産ジャパンというサイトを使って今回の家を見つけたが、これは単なる偶然だった。
安い物件を探すのに向いているサイトをいくつか紹介する。
安い物件を買う時の注意点
確かに伊豆半島周辺は安い物件が多いのだが、温泉地帯の物件は注意が必要だ。温泉地帯付近の物件には「温泉利用料」のようなものが月額で2万程度かかる可能性がある。あるいは水道の名義変更が50万円くらいかかるとか。
売り主が物件を安く売りたいのには理由があると考えたほうが妥当だ。安い物件を買うときは維持費が高くないかを慎重に調べたほうが良い。もちろん、固定資産税も。僕が買った家は、幸いにもそのようなコストの高い維持費はなく、先に述べた別荘管理費が年42,000円と固定資産税が1万円程かかるだけだった。
また、一見細々した話だが、生活費についても考えたほうが良い。
例えば、上下水の扱いはどうなっているのか。全国的に見て、下水管が整備されていてそれが浄水場まで行く場所のほうが稀である。日本は山国だから下水や都市ガスは整備しづらいのだ。未だに下水は川にそのまま流して、プロパンガスを使っている地域の方が多い。
生活・コストに影響が大きいのが汚水。つまりトイレの仕様。トイレは大きく分けて、浄化槽、汲み取り式、簡易水洗がある(コンポストもあるけどこれは自給自足力が高い人しか使わないので割愛する)。自宅に浄化槽をおけばそこで汚水をきれいな状態にして排水することができる。もし自分で浄化槽を設置しようとすると100万くらい必要になるので、結構つらい(助成金が出る場合もあるけどそれでも高い)。浄化槽の中の浄化剤を時々入れてやる必要があるので維持費もかかる。 汲み取り式トイレは、いわゆる「ぼっとん便所」で不快さでいえば突出している(ちなみに僕が今千葉で借りている物件はこれ)。要するに肥溜めの上に便座が置いてあるだけだから臭いし、匂いが逆流してくるともう最悪だ。汲み取り式はバキュームカーを呼ぶ必要があるので月額の使用量も5千円くらいかかる。簡易水洗は汲み取り式トイレの一種だが、表面上水洗トイレになっているので不快感はない。しかし、バキュームカーは呼ぶ必要があることに変わりはない。
汚水以外の生活排水も、浄化槽、浸透式、下水がある。浄化槽は先に話したトイレと同じ浄化槽に入れるタイプ。比較的新しい田舎の家はこれ。浸透式は家の地面に排水を徐々に染み込ませるというもの。排水を庭に沈み込めるので臭う場合がある。下水は、浄水場までいかないまでも用水路に下水を流しているもの。この場合、使用する洗剤等に気を使ったほうが環境に優しい。
ガスに関しても、都市ガスは貴重だ。都市ガスが使えるなら都会と考えてもいいくらいだ。基本的にプロパンガスだし、地域によってはめちゃくちゃ高い。基本使用料は 5,000円〜15,000円くらいか。プロパンガスが高いなら、今時オール電化にしてしまった方が安い気がする。IHに不満があるならカセットコンロでもいいし。カセットコンロのボンベは100円〜200円くらいで販売されているから、1週間で1本使ったとしても1ヶ月あたり数百円ですむ。最近のカセットコンロは結構な火力が出るから、特にこだわりがなければこれで十分だと思う。
また、安い物件を買うときは、最悪取り壊すことを考えなければならない。解体費用は木造建築であれば200万以上、鉄筋・鉄骨であれば400万以上を覚悟する必要がある。100万以下で買った物件をそれ以上の価格で解体するのは馬鹿馬鹿しい。可能であれば、解体する必要に迫られる前に誰かに売ってしまった方が良い。物件を買うときは数年後にも売れそうかどうかを考えた方が良い。あるいは、無料で他人に譲ってもよいかどうか。
値段交渉
物件を買う時の値段交渉についてだが、これは積極的に行なったほうが良いと思う。不動産は面白い。「ねぇ、これ10万まけてよ」というとそれが通るのだ。運が良ければ 200万くらいまけてもらえることもある。すごい額だ。10万で買えるものを考えてほしい。iPhoneくらいは買える。それを値引きしてくれるってすごいことだ。赤の他人に「ねぇ、iPhone買ってよ」といっても買ってくれるわけがないが、不動産売買ではそれに近いことができるのだ。
不動産は普段扱わない高い額をやり取りするので感覚が麻痺してしまうが、ここは冷静に考えよう。10万でも20万でもまけられるならまけてもらったほうが得だ。自分の月給を思い出してもいいし、スマホ等のほしいものの値段を思い出しても良い。交渉するだけなら無料だからダメ元でいいから売り主に交渉しよう。僕も正直、150万が80万まで下がるとは思ってなかった。ダメ元で交渉したら通ってしまった。不動産業者の方が頑張って交渉してくれたのも大きい。
値段交渉だが、物件の地区年数や雨漏れの跡、コンクリートの亀裂など何でも良いから不安に思うことを上げて交渉すればいい。瑕疵担保免責で交渉しても良い。どうせ築20年以上の木造建築に資産価値はないのだ。300万以下で物件を売ろうとする時点で相手も売りたい気持ちが強いわけで、価格交渉は強気でやってみても大丈夫だと思う。正直に「お金があまりない」と言ってもいい。ただし、値段交渉全般的に言えることだが、たとえ内心買うつもりであっても「まだ悩んでいてもう少し安かったら買うんだけど」という体で話さなければならない。また、最初に交渉を初めた価格より安い額にするのは難しいから、はじめは思いっきり安い価格を言おう。まぁ、値段交渉に失敗したら他の物件を探すなり、言われた値段で買うなりすれば良いわけだし、交渉するだけならタダだから気楽にやろう。
買った家で何をするのか
田舎の人間関係とか安い物件の買い方について話してきたけど、そろそろまとめにはいろう。
僕としては今回買った物件では、とりあえず一人暮らしをして引きこもるつもりだ。
ここ数年、色々なシェアハウスに住んだり、自分でも運営したり、車で2, 3人で旅をするということをやっていた。
シェアハウスは好きだが、自分の中で少しシェアにこだわりすぎた気もする。
趣味に打ち込みたいこともあるし、ここらで一度しっかり一人の時間を作ろうと思った。
物件の周囲は森だから騒音などで周りに気を使わなくていいし、近所の温泉に入りながらのんびりしたい。
海外に数か月行きたいという気持ちも強まっているが、その場合もこの物件に住民票や荷物を置いておけるので便利だと思う。
もし、しばらく経って一人暮らしに飽きたら、シェアハウスやIT合宿所みたいにするかもしれない。
遊びに行ってみたいという方は個別にご連絡ください。
また、この物件には鹿が現れるそうなので狩猟をやろうと思っている。
12月の千葉の罠の狩猟免許に申し込もうとしたら、申込み初日で定員オーバーでクローズしてしまって申し込めなかったので、年明けに再挑戦するつもりだ。
今年の猟期には間に合わないと思うが、今までもカエルやカメを捕まえて食べていたので、今後狩猟はもっと本格的にやりたい。
田舎というのは自然を相手に遊ばなければならないので、工夫を凝らさなければならない。
夏なら釣りができるし美味しい食べ物も多いけど、冬場はできることが限られてくる。
狩猟は何かとハードだけど、サバイバル力をあげる意味でもやっておきたい。